昭和基地に大型航空機用の滑走路を造成するための実験が、先月2日と3日に北海道陸別町で行われました。陸別町の気候特性を活かし1998年から実施している実験で今年で10年目。同日、元国立極地研究所所長の渡辺興亜氏(11次、15次、29次、35次)、国立極地研究所の古川晶雄氏(29次、33次、36次、40次、
45次)、北見工業大学の亀田貴雄氏(36次、
44次)、高橋修平氏(23次)を中心に実施されました。
同実験は、国立極地研究所、北見工業大学、長岡科学技術大学、陸別町しばれ技術開発研究所による共同研究で、昭和基地対岸の南極氷床上に延長3000mになる大規模滑走路を造成する計画。
昨年は実際に平らな雪面を造成する技術の検証を行い、現在道路工事で実際に利用されている、電子式測量機(レーザーレベラー)を搭載したブルドーザーが自動的に高低差を調整しながら整地した。今年は、除雪方法について実験。積雪を取り込んで排除するロータリー式雪上車に変わり、積雪を攪拌して転圧するという工法を試みたそうです。
現在、観測隊員と物資の輸送はすべて南極観測船(海上自衛隊)による海上輸送ですが、上層部では人員・物資の航空機輸送を急務と位置づけているようです。大規模滑走路を造成する場合、平らに整地するための熟練技術者の確保が課題でしたが、この新しい技術を導入することによって機械がその役割を果たし、滑走路造成が可能となるかもしれません。陸別町しばれ技術開発研究所の小島所長は、近い将来南極での実証実験に入る可能性があることを新聞紙上で述べられています。
http://www.tokachimail.com/rikubetsu/060209index.html
写真提供:亀田貴雄氏(36次・44次、北見工業大学) |
1.GPS を搭載したブルによる路面平滑実験 |
2.平らになった雪面 |
3.圧雪した路面の硬度計測(渡邉興亜先生) |
4.圧雪雪面の断面観測 |